蓄熱材を使った開発事例

PCMは建材用途や保温/保冷グッズだけでなく、その特性を活かした製品開発にも日々検討しています。ここでは従来の製品以外で実際に運用された製品をいくつか紹介します。

@エコUP

日頃から浴槽の残湯熱の有効活用を考え、給水と排湯の熱交換器を考案。従来のプレート型排湯熱交換器と違い、熱交換器内にある給水が通るコイル同士との間に板状の蓄熱材を隔壁として設け、コイルだけで熱交換しきれなかった排湯熱エネルギーを蓄熱材にも吸熱し、より多くの廃棄される熱エネルギーをすくい上げようと考えられたシステムです。



家内暖全

蓄熱式床暖房の低ランニングコストと長時間暖房がメリットである反面、PCMの自然放熱による暖房の為、温度調節と暖房ON/OFFが不可という欠点と、加えて床暖房には同部屋内でも敷設箇所の有無で床面に温度ムラが発生しているという問題を抱えたままでした。
住宅の断熱性能が向上されるなか全館暖房が望まれる傾向になり、蓄熱式の長所を最大限に活かするための方法として、床下のデッドスペースにPCMを収納した蓄熱BOXを設置し、そこに熱エネルギーを蓄えて必要な時に任意で熱を室内に取り込む暖房方式を考案しました。
また熱源は主に省エネ機器の温水ヒートポンプを意識したシステムでしたが、これまでに屋根面や壁面からの太陽熱集熱システムや太陽熱温水器とのハイブリッド方式を導入し、更なる省エネシステムとして発展しております。



@ゆかだんP-Lus

埼玉県が平成26年度から5年間に渡って行った【埼玉県先端産業創造プロジェクト】において、その中の1テーマである『高効率床暖房システムの開発』プロジェクトチームに当社も県内企業として参画しました。ひとの動きに合わせて足元の床面が発熱し電力消費量を抑える床暖房システムの開発と商品化を目指していました。製品は現場の導入のしやすさを考慮して、建築で汎用的に使用される構造用合板とおなじ厚さ12mmの製品に設計を進めていたため、熱源は電熱ヒーターを採用しておりました。
併せて、そのコンセプトとは別に、熱源を省エネ機器である温水ヒートポンプと、保温能力の高い潜熱蓄熱材(PCM)を掛け合わせて、熱源の間欠運転で長時間暖房を実現させるための厚さ12mmの床暖房パネルの開発も進められ、『@ゆかだんP-Lus』は開発されました。
また、JPCM(一社 日本潜熱蓄熱建材協会)が建材としての蓄熱材の評価方法の標準化を確立すべく、蓄熱性能の評価方法のJIS化を進めており、併せて潜熱蓄熱建材が、SII(一社 環境共創イニシアチブ)が取り扱う次世代省エネ建材支援事業の必須製品となったことで、建材における潜熱蓄熱材の意義が再認識されてきた時期でした。
そのような背景もあり、2018年冬に某ハウスメーカー実験棟にて日本工業大学の三坂教授の監修のもと、床暖房の温度快適性について評価試験を行うとともに、『@ゆかだんP-Lus』の次世代省エネ建材支援事業の製品登録を進め、プロジェクトが進行されていきました。



@ゆかだんP-Lusカタログ.pdf
@ゆかだんP-Lus施工説明書.pdf

上記商品動画(埼玉県先端産業創造プロジェクト様 Youtubeチャンネルより)

クールスポットシステム

埼玉県の「平成31年度埼玉県ものづくり技術・製品開発支援事業」を受け、PCMを活用した暑熱対策クールシステム開発を手がけました。
気候変動に伴う都市部のヒートアイランド現象による気温上昇に対し、屋外の暑熱対策に向けて、人々が集う場所や酷暑で作業される人向けに設置が簡単なクールスポット及びクールベンチシステムの開発が始動しました。(特許登録第6668548号)
2019年9月には「2019ラグビーワールドカップ」熊谷会場のおもてなしエリアにおいて、試作機を持ち込んだ体感ブースを設けて、30℃を超える真昼に多くの方々に冷涼感を体験してもらい、たくさんのご意見・ご要望を頂くことが出来ました。
現在では、コロナ禍の影響によりソーシャルディスタンスなど新たな価値観により一部開発方向性の修正が必要とされ、また災害時の避難場所での使用も考慮に入れたより簡便な新クールスポットシステムの開発中です。(2023年4月)



デジタルマンモグラフィ用恒温器

某医療機器メーカー様より、検診車に搭載されるデジタルマンモグラフィの撮影台を機器不良が発生しない温度を維持するための機器製作の依頼がありました。夏冬の昼夜で車内温度が乱高下する環境下において、休日や夜中の運用時間外の電源が確保できない条件でも、PCMの特長である長時間保温/保冷効果を効果的に利用した恒温器を共同開発しました(特許登録第6220540)。
また、使用される方は女性が多いため、軽量かつデザイン性も考慮した製品へと仕上げております。

開発に至るまで

デジタルマンモグラフィ用恒温器.pdf

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